流出のダイオキシン、基準の2600倍
藤沢市処分場
神奈川県藤沢市葛原にある市の最終処分場から、環境基準を2600倍上回 るダイオキシン類や猛毒のシアンを含む水が流れ出していることが、住民が民 間の検査機関に依頼した水質調査で明らかになった。汚染された水は河川をへ て相模湾に流れ込んでいる。住民らは20日朝、データを市に提出して、再確 認のための水質調査と汚染除去のための抜本策を求める。 藤沢市では、先月末、荏原製作所藤沢工場から高濃度のダイオキシン類を含 む排水が引地川に垂れ流されていたことが明らかになったばかり。 ダイオキシン類が検出されたのは、市内に三つある焼却残土の処分場のう ち、最も古い第一処分場。浄化装置とみられる装置からの排水とは別に、過去 に埋め立てられてきた残土から直接染み出しているとみられる汚水が、浄化槽 の排水出口のわきの排水溝からU字溝へ常時、流れ出ている。 市に水質検査などを依頼したが、住民が納得できるような調査ではなかった として、地元有志でつくる「藤沢西北部の環境と生命を守る会」が2月19日 に汚水を採取。環境庁のダイオキシン類緊急全国一斉調査を手がけた東京都品 川区の財団法人日本品質保証機構に水質検査を依頼した。 今月12日付で、同機構の測定結果の証明書が届いた。それによると、汚水 1リットル当たり、2600ピコグラム(公共水域での環境基準は1ピコグラ ム=1ピコは1兆分の1)のダイオキシン類のほか、猛毒のシアン、環境基準 の4倍の鉛が検出されたという。同機構によると、焼却残土からのダイオキシ ン類と推定できるという。 この汚水は、畑の間に埋設されたふたのないU字溝を通って、約2キロ先の 目久尻川に流れ込んでいる。目久尻川は、隣の寒川町をへて相模川と合流して いる。 <2000年4月20日朝日新聞紙面より> |