ダイオキシン
微量で子供の行動力低下 米の動物実験で判明


有害物質のダイオキシンは、先進国の人間が通常汚染している程度の微量でも、母体に存在した場合は生まれた子供の自発的な行動に影響を与えることを、米・サザンメーン大とロチェスター大のグループがラットを使った動物実験で2日までに突き止めた。

 研究グループは、妊娠中のラットに量を変えながら1回だけダイオキシンを投与。生まれた子供の自発的な行動を調べた。レバーを何回か押すと回し車が回せるようになる装置を使い、ラットの子供がどれだけ運動を「やる気」になるかを実験。すると、レバーを押して車を回せるようにした回数も、1回に車を回した回数も、母親へのダイオキシン投与量に応じて減少した。

 投与量を調べたところ、体内のダイオキシン存在量を示す「体内負荷量」が、ラットの体重1キロ当たり7・3から10・1ナノグラム(1ナノは10億分の1)で子供の行動に影響が出る、と計算された。日本や米国など先進国の人間の平均体内負荷量は同10ナノグラム前後。ほぼ同程度の微量汚染で影響が出るとの結果になった。

 グループのバーナード・ワイス・ロチェスター大教授は「微量で影響が出たことはダイオキシンの毒性を知る上で重要。発達に関連する甲状腺ホルモンの機能や、脳の発達をダイオキシンが乱した可能性がある」と話している。(ワシントン共同)

                                           [毎日新聞紙面より01年9月2日]