環境ホルモン物質など51物質、人体への影響調査へ

 環境ホルモン作用が疑われるなど健康への影響が問題になっている51の化学物質について、環境省は今年度から、環境中の残留量や食事などを通じて人体に取り込まれる量を新たに調査し、リスク評価を始めることを決めた。社会のニーズを反映させるため、対象となる化学物質の選定には専門家だけでなく、初めて消費者団体や環境保護団体の代表が参加した。

 今回選ばれたのは、環境ホルモンの疑いがあり、樹脂原料などに使われてきたビスフェノールAや、国内では製造や使用が禁じられているが、今年1月に無許可で輸入されていたことがわかった合成ゴム原料のポリ塩化ナフタレンなど。

 はっ水剤などに使われていたことがあり、毒性や血液中の蓄積性の報告があるが国は調査していなかったペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は、世界自然保護基金(WWF)ジャパンの村田幸雄委員などの提案で選ばれた。

 この調査は、環境省が74年から続けている「化学物質環境汚染実態調査」で、水や大気、魚類などにある化学物質量を調べ、人や生態系への安全性を評価する。00年度までに794物質を調査し、ダイオキシン類などの規制を強化した。環境ホルモンやシックハウス問題などが関心を集める状況を受け、今年度から選定過程や調査手法を改めた。(21:58)
2002年7月11日(朝日新聞紙面より)