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−保水剤(高分子ポリマー)とは−
 保水剤の利用は、基礎技術の延長で、かんがい法のなかで行われている工夫の一つである。保水剤とは、読んで字のごとく、水を保つ材料のことだ。砂畑に水をやっても、水はすぐに下にしみ通ったり、日射が強ければ毛細管現象などによって地表に出てきて、蒸発してしまう。せっかく水をやったからといって、その水が作物の生育にすべて役立つわけではない。
 保水剤は、かんがい効果をさらに高めようというものだ。もちろん、これは点滴法と組み合わせが望ましいが、点滴法と組み合わせていなくても利用できる。点滴法と組み合わせると、さらに、二〇〜三〇%は水を節約できるであろう。
 〜中略〜 
 さて保水剤に話をもどすと、これは、最初は米国の農務省の研究機関が、デンプンにポリアクリル酸という物質を重合させ、加水分解して吸水性を与えた高分子物質を偶然に発見したことからつくられた。
 〜中略〜 
 この保水剤は、長くても二年ほどで完全に分解してしまうし、植物や人間に害を及ぼすものは含んでいない。分解した後は炭素と水素になってしまう。多くの人たちが心配する地球の環境汚染にはつながらない。
 〜中略〜 
 今は、合成樹脂のメーカーが競って高性能の保水剤を研究・開発している。この物質は、まず紙おむつや女性の生理用品として用いられた。最近のこの種の商品は、ほとんどがこの物質を使っている。
 こういう保水剤が、農業用としても開発されており、各種の用途を含めて保水剤の種類は、日本のメーカーだけでもはや百数十種類にも達する。

「砂漠を緑に」  遠山柾雄 著  岩波新書

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