作業員の血中にダイオキシン300倍大阪のごみ焼却施設

大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」の高濃度ダイオキシン類汚染問題で、労働省は12日夜、このごみ焼却施設を解体していた日立造船(本社・大阪市)などの作業員35人の血中から、最高値が平均の200−300倍にものぼる高濃度ダイオキシン類が検出されたと発表した。35人の平均値は血中脂肪1グラム当たり680ピコグラム(1ピコは1兆分の1)で、最高値は5380ピコグラムに達している。健康な一般人の血中にあるダイオキシン濃度は平均20−30ピコグラム前後で、作業員の平均値はこの約30倍にあたる。国内での汚染例としては最高値で、深刻な健康被害を招く恐れも指摘されている。

 作業員は、1人が日立造船の正社員のほか、同社の関連会社員が1人、残り33人は下請けの作業員。解体事業は1999年5月から今年3月まで実施された。焼却炉内の作業は99年7月から今年1月までで、延べ250人以上の作業員が参加した。ダイオキシン類が検出された35人の作業員は常時、炉内で焼却灰などの除去作業をしていたという。

 作業員は粉じんを防ぐため潜水服のような防護服を着用、高濃度汚染地区に出入りする際にはエアシャワーを浴び、作業着は使用するたびに廃棄することになっていた。

 今回の数値は、作業員から今年2月と4月に分けて測定された。35人のうち、血中濃度が1000ピコグラム以上の作業員が6人、500−1000ピコグラムが11人、500ピコグラム以下が18人だった。

 作業員らは一連の作業に入る前にも血中濃度を測定しており、ダイオキシン類濃度は最大で60ピコグラムで、通常の範囲内だった。

 労働省は「ただちに生命に危険があるレベルではないが、一般論として最大値の人は健康障害が出る可能性はある」としている。

 厚生省環境整備課は「焼却灰のダイオキシン濃度が通常の1000倍ときわめて高い数値だったことに加えて、防護服の扱い方など、作業方法に何らかの問題があったのではないか」と話している。

<2000年7月13日朝日新聞紙面より>

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