ダイオキシン排出基準強化でごみ焼却509施設廃止


 市町村が運営する一般廃棄物焼却施設の排ガスに含まれるダイオキシン基準が12月から厳しくなるのに伴い、新基準に適合できないなどの理由で廃止が決まった施設が、4年間で509施設にのぼることが朝日新聞社の調査で分かった。全体の約3割を占める。一方、解体作業の安全強化が義務づけられたため解体費用が高騰、廃止施設が野ざらしになるケースが相次いでいる。

 4、5月に全国の47都道府県へアンケートし、その回答を基に集計した。

 国はダイオキシン汚染が問題化した97年、廃棄物処理法に基づき、ごみ焼却施設のダイオキシン排出基準をつくった。既存施設では98年12月から、排ガス1立方メートル当たり80ナノグラム(ナノは10億分の1)以下の基準を適用。02年12月からは、さらに厳しい基準が設定されたため、各地で焼却施設の改廃が進んだ。

 主に家庭ごみを処理する一般廃棄物焼却施設は97年5月末現在、全国で1641(旧厚生省調べ)あったが、98年12月以降、今年5月までに170施設が廃止された。今後、新基準が適用されるまでの半年間で339施設が廃止され、合わせると509施設にのぼる。

 このうち「解体ずみ、解体中」の施設は47。廃止施設の75%に当たる384施設は、まだ解体計画が立っていない。

 「解体が進まない理由」を選択方式で尋ねたところ、42都道府県が「解体費用が高額で、自治体の厳しい財政事情の中で予算化することは難しい」を選んだ。

 解体費高騰の背景には、国内最悪のダイオキシン汚染を起こした大阪府能勢町の焼却施設解体で、作業員が高濃度のダイオキシンを浴びたことがある。00年7月にその実態が判明し、厚生労働省が01年に労働安全衛生規則を改正。自治体や業者に厳しい暴露防止対策が義務づけられ、業界では「費用が5倍から10倍になった」といわれる。(13:09)
2002年5月28日朝日新聞紙面より


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