ダイオキシン、近くの海水から基準の5倍


宮古島産廃火災

 沖縄県・宮古島の平良市にある産業廃棄物処分場で昨年11月に起きた火災による環境汚染を調べている市の調査委員会は27日、近くの海水から国が定める環境基準(1リットル当たり1ピコグラム=ピコは1兆分の1)の5倍を超える5.23ピコグラムのダイオキシンを検出した、と発表した。処分場から流れ出たとみられる。

 記者会見した調査委員長の関口鉄夫・長野大講師は「処分場に有害なものが埋まっている可能性があり、処分場内部の調査が必要だ」と語った。委員の1人で環境総合研究所(東京都)の池田こみち副所長は「海岸のリーフ(サンゴ礁の隆起部分)内が汚染され、移動距離の少ない貝などが汚染されて生物濃縮が起こることが心配」と述べた。

 調査委は5月に産廃処分場近くの海岸で海水を採取し、海外の研究機関に分析を依頼していた。環境省が一昨年、全国426検体の海水を調べた際のダイオキシン汚染の平均濃度は0.13ピコグラムで、検体中の最高値も2.15ピコグラムだった。今回の値は「全国的にも最大値」という。調査委が5月に発表した中間報告では、現場近くにたまった水から環境基準の2倍のダイオキシン類が検出されていた。

 県は大気汚染などの環境調査は行ったが、処分場内部の本格的な調査はまだしていない。地元の平良市議会は4月、処分場の許認可権を持つ県に抗議し、早急な対策を求める決議を全会一致で可決している。

 処分場は民間経営の安定型最終処分場で広さ約1.3ヘクタール。84年から稼働し、囲いをした素掘りの穴に廃プラスチックや金属くず、ゴム、がれきなどを埋めていた。

 火災は昨年11月28日に発生。山積みの産廃が数カ月間にわたってくすぶり続け、発生した異臭から付近の住民が目やのどの痛みなどの健康被害を訴えている。現在は稼働していない。

(02年7月27日 朝日新聞紙面より)


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