ダイオキシンの蓄積度合い、だ液で
赤ちゃん調査に活用期待

ダイオキシン類の体内蓄積をだ液でも測れることが、朝日大学歯学部(岐阜県)と島津テクノリサーチ(京都市)のグループの研究でわかった。血液を採取する現在の方法に比べ簡単なため、乳幼児の検査や体内汚染の実態を探る疫学調査などでの活用が期待される。15日から横浜市で始まる内分泌撹乱(かくらん)化学物質学会で発表される。

 だ液のほとんどは水分だが、ダイオキシン類が蓄積されやすい脂肪成分もわずかに含まれている。そこに着目した朝日大の小川知彦教授(口腔<こうくう>細菌学)らは、刺激のない状態で口から十−数十ミリリットルのだ液を採取し、脂肪成分を抽出してダイオキシン類の濃度を測った。その結果、血液中の脂肪成分から測定した濃度とほぼ同じ値が得られた。年をとるほど高濃度になる、女性より男性の方が濃度が高い、といった特徴も血液と同じだった。

 ダイオキシン類の体内蓄積は髪の毛でも測れるが、外界と接しているので体外の汚れがつく欠点がある。体内汚染を正確に測るには血液を使うのが一般的だが、血液採取はだれにでもできるわけではない。

 だ液測定の実績を重ね、手法が確立されれば、ダイオキシン類の影響が懸念される乳幼児らの調査に活用できる。

<2000年12月12日朝日新聞紙面より>

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