生ゴミのたい肥化開始

米栽培委託 販売めざす


生ごみは包装などが混じらないよう分別を徹底した上で堆肥化工場に運ばれる=宇都宮市簗瀬町の「たいらや簗瀬店」で

 スーパーマーケットチェーンのたいらや北関東(栃木県宇都宮市簗瀬町、村上篤三郎社長)が1日から、店舗から出る野菜や肉、魚などの生ごみをすべて堆肥(たいひ)化する取り組みを始めた。これまでは焼却処理していたが、新システムでは全17店舗から出る生ごみを茨城県内の堆肥化工場に委託。できた堆肥で有機・減農薬米を栽培し、収穫した米を店舗で販売する「循環システム」を目指している。同社は「県内のスーパーでは初の取り組み」としている。

 たいらや北関東は県内でスーパーマーケット「たいらや」17店舗を経営している。同社総務人事部によると、各店舗からはカットした野菜や果物のくず、おろした魚の頭や骨、処理した食肉の肉片、売れ残った商品−−といった生ごみが出る。量は1店舗当たり1カ月間に約1.5トンで、可燃ごみ全体の約4割にあたるという。

 同社は、「農事組合法人・むかしの青年団」(茨城県下妻市)と共同で堆肥化の実験を進め、このほど下妻市内に工場をつくった。各店から専用の収集車で回収された生ごみをこの工場に搬入。おがくずなどを加え、約3カ月かけて堆肥に加工するという。

 出来上がった堆肥はJA北つくば(本店・茨城県下館市)を通じて茨城県内の契約農家に販売され、有機・減農薬米の栽培に使われることがほぼ決まっている。今秋には契約農家が収穫した米が、たいらやの店頭に並ぶ見通しだという。

 残された課題はコスト面。茨城県内の工場までの運搬費用、堆肥化の委託費用などを合わせると、近隣のごみ処理業者で焼却処理していたこれまでに比べ数倍のコストがかかってしまうという。

 同社の宗像幸雄取締役は「環境に配慮し、循環型社会を目指すという会社の方針を示すため、他社に先駆けて投資することが重要と考えた」と話す。当面は「損得抜き」の取り組みとなりそうだ。

(02年3月10日 朝日新聞紙面より)


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